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2025/08/24  [PR]
 

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こんこん
カナコの部屋のドアをノックする音はタカシ。
ドアを開いたそこには何着ものドレスに埋もれた
タカシが顔を覗かせる。

呼び付けたカナコは何着か見たあとで
お目当てのものを見つけたのか
手を止めこちらに振り返る。

「シモーヌ。
 これなんてかわいいと思わない?」

カナコが指していたのは白のワンピース。
リボンとレースと白い薔薇、
ボリュームのあるミニスカートはとても可憐で
いつものカナコのセンスとは少し違うような気がした。

次の休日に開催されるパーティーのために
新しいドレスを何着か用意していた。
カナコの部屋はドレスが何着も運びこまれ
まるでクローゼットの中のようだった。

「これは奥様には少しかわいすぎるのでは?」

いつも体のラインがそのまま出るようなドレスを
好むカナコにしてはとても珍しい選択だと思った。

「これはシモーヌに、わたくしのはこっちよ。」

そう言って指したのは大胆に背中が開いた薄青のドレス。
たしかにカナコの趣味だろう。
シモーヌに?私?
疑問を浮かべながらもう一度カナコの顔を
見つめるがモデルのような完璧な笑顔を返されただけだった。
どうやら本気らしい。

「ほら早く着てみて頂戴。サイズも見てみるわ。」

恰好の獲物を見つけ生き生きとしたカナコの顔と
ドレスに交互に視線を向けて着替えない事には
カナコが納得しないだろうという事を思う。

「ほら男は退出よ。」

タカシをドアの外へ追い出し
満足顔でこちらを見る。

仕方がないのでワンピースのボタンをはずしシャツを脱ぐ。
サイズを見るだけというわりには
あれこれ用意しているので大掛かりになってしまう。
なんて準備がいいのだろう。
自分のドレスを決めるといって部屋に呼んだのも
きっとこのためだったのであろう。

またあの女にまた騙されたと思いつつ
手元にあるドレスはとても優しい。
…嫌いではないかもしれない。

白いふわふわのドレスをもう一度そっと抱きしめる。
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